【下川運輸の森から Vol.1】社有林2.5haの皆伐を行いました

 下川町内にある約40haの社有林「下川運輸の森」。下川町の森林面積における私有林の割合は15%程度ですが、山主の高齢化等の理由により自分の森を手放すことも増えており、弊社では定期的に山林を取得して社有林面積を拡大するとともに、間伐や下草刈りなどの整備を行い持続的な森林経営を行っています。

 運送会社がなぜ社有林を持つのかというご質問はよくいただきます。「シャユウリン・・・・・・って何ですか」と聞かれることもあります。そのくらい、企業が、それも下川運輸のような中小企業が山林を保有するということはあまり身近ではないのかもしれません。

 13年前、下川町が環境モデル都市の指定を受けたことに刺激を受け、「自分たちの手で森を育てることによって、運送業でトラックから排出されるCO2を全て吸収したい」という理念のもと、下川町桑の沢に1haの土地を購入し社員も参加して1,500本のカラマツを植林したことが、下川運輸の社有林事業の始まりです。昨年度はCO2の事業排出量の84%を、社有林での森林吸収量で穴埋めしており、全量オフセットまであと一歩の道のりにいます。

 そして、社有林の木を適切な時期に伐採して木材等の森林資源として有効活用し、また新たな木を植林して森を更新していくというのも重要なサイクルの一つ。下川運輸では合法木材供給事業者の認定も受けて社有林からの原木を販売しています(道木連第674号・道木連バイオマス第311号)。

 ということでこの冬シーズン、下川町北町にある主伐期を迎えた約2.5haの社有林の皆伐(対象区画の樹木を全て伐採すること)を行いました。 対象となる社有林は林齢52~53年のカラマツ林。まずは道を作るところからスタートということで、雪に埋もれた林道を下川運輸除雪班が除雪します。

 今回、施業してくれるのは下川町の林業界の重鎮、越智重機林業の越智さん。グラップルやフェラーバンチャを駆使してどんどん木を伐倒していき、ハーベスタで枝葉を落としながら玉切りします。圧倒的なスピード感!

 玉切りした丸太は長径(丸太の長さ)ごとにグラップルで椪積みし、下川運輸の新入社員が竹尺で径級(丸太の直径)を測ってチョークで記入し、さらに長径・径級ごとに何本あるか野帳に記録していきます。全部で3,237本。なんと地道な作業なのでしょうか。スマート林業実現の必要性を実感します。

 芯が腐った材や、曲がりの大きい材、細すぎる材は規格から外れるため、残念ながら一般材(製材などになる木材)にはなりませんが、貴重な森林資源であることに変わりはありません。下川町にはカラマツとトドマツから発電を行う木質バイオマス発電所がありますので、こうした未利用材はそこに運び入れします。まさに地産地消のエネルギー生産です。

 最後の運材ではいよいよ運送会社の本領発揮です。山土場で原木車に丸太を積み、一般材は下川町内の製材工場へ、未利用材は下川森林発電所へ運搬します。今年は雪解けが例年よりかなり早く、この頃になると林道も解け始め、大急ぎで運び出しを行いました。

 丸太を全て運び終えた後の風通しのよい景色は、達成感と同時に寂しさを与えるものです。皆伐はこれで完了し、春以降に地拵え、植林を行い、また新たな森を育てていくことになります。ご協力いただいた関係者の皆さま、誠にありがとうございました。

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